のれんといえば、飲食店などの入口、住居では部屋の境に使われる、ごく一般的なインテリアの布製品です。和風ののれんを想像される方も多いかと思いますが、インド綿でできた「のれん」があります。
インドには「のれん」がありません。そのため、日本の業者、バイヤーが直接、現地の職人さんに指示し「のれん」を作ってもらっています。インド綿は織り方に種類があり、それぞれ厚さや、肌触りにそれぞれ特徴があります。
①イタワ織りは隙間のある織り方で、柔らかい肌触り。丈夫なガーゼのような生地です。綿100%。②シーチング織りは目の詰まった織り生地。シーツ等に使われている親しみのある素材です。
③オパール加工生地は、透ける部分と透けない部分の透かし模様を付けた布生地。④コットンボイルは、薄手で柔らかいコットン生地です。
部屋と部屋の仕切りに「のれん」。あたり前すぎて普段は意識せず、暖簾をまたぐ日常ですが、ここでは「使用する場所」にスポットを当てて、実用例を見て行きます。
一般的には玄関から廊下があり、途中にトイレや洗面所、浴室、または床の間などが配置されています。お客さまサイドでは奥まで見えてしまうこと。主人サイドからは、家の中を見られているという状況。玄関と廊下を布でやんわりと仕切り、「見えてしまう・見られている」を意識から取り除き、双方のストレス軽減が期待されます。
浴室を中心とする洗面、脱衣所は、洗濯機も置いてある場合が多く、湿度が高くなりがちな場所です。お風呂に入る時以外は特に戸を閉めないという場合に、「のれん」を使うと湿気もこもらず便利です。
ダイニングはさっぱりきれいにしていても、キッチンは日用品をたくさん置く場所なので、ダイニングルームとキッチンの間仕切り、キッチンの目隠しに便利です。ダイニングルームにお子様のいる場合には、向こうが透けて見える生地(オパール加工生地)ののれんがおススメです。
共通しているのは、どうしても生活感の出てしまう場所の認識を「やんわり」区切る役割です。例えば、お庭の目隠しにフェンスや塀などで目隠ししてしまうと圧迫感がある。そんな場合には「庭木」を選択するような感覚とでも言えばよいでしょうか、道路から家の中が見えてるのは気になる、でも塀を立てると圧迫感が出てしまうので避けたい。そんな時の「庭木」の存在。
「のれん」も、見ようと思えば見ることは出来ますが、「のれん」を掛けることで、のれんの向こうの存在を意識から外す効力が期待できます。目の前から完全にシャットアウトはしないという点も「庭木」に似た、「やんわり」さです。
30年ほど前のエスニックのれんといえば、ペイズリー柄や、ゾウや草木をモチーフにした木判(木の判子「ブロックプリント」)プリントのデザインがほとんどでしたが、最近はエスニックに限らず様々なテイスト、色柄の「のれん」が登場しています。
そんなお客様のお部屋にあったテイストの「のれん」を見つけてみてください。